フロントエンドクラウド

従来のWebアーキテクチャが抱える課題をふまえ、近年注目されている「フロントエンドクラウド」という新しいホスティングの形を紹介します。

従来のWebサイトやWebアプリケーションは、PHPなどのサーバーサイドのプログラムでWebページを生成する仕組みが一般的でした。
たとえば、大量のコンテンツをデータベースに保存し、それを元にWebページを動的に生成したり、ユーザーが投稿した内容や管理画面で更新されたデータを即座に反映させたりといった処理です。

この構成には柔軟性がある一方で、サーバー側で毎回ページを生成するため、アクセスが増えると処理負荷も増大するという課題があります。
特に大規模なサイトでは、複数台のWebサーバーやアプリケーションサーバー、データベースに加えて、ロードバランサーやキャッシュサーバーなどが必要になり、構成がどんどん複雑化していきます。

構成が複雑になるほど、次のような問題が発生します。

  • キャッシュの整合性を保つのが難しい
  • データベースの変更や移行に慎重さが求められる
  • 障害の切り分けが困難になる
  • インフラ維持のためのコストが跳ね上がる

さらに、サーバーサイドでページを生成する構成では、HTMLの構造とバックエンドのコードが密接に結びつきやすくなります。
そのため、見た目の変更やテキストの微調整ひとつでも、サーバー側の影響を考慮してコードを変更し、テストを実施する必要が出てきます。UIの改善すら手間のかかる作業になりがちです。

つまり、従来のWebは規模が大きくなるほど構成が複雑になり、保守性や拡張性の面で多くの課題を抱える構造でした。

こうした従来型の課題を解決するために登場したのが、「フロントエンドクラウド」と呼ばれる新しいホスティングサービスです。

フロントエンドクラウドとは、Webフレームワーク(Astro、Next.jsなど)で開発されたWebサイトやWebアプリケーションを、グローバルに分散されたインフラから高速かつ安全に配信するためのクラウドサービスのことです。
CI/CDによるビルドとデプロイ、ホスティングとプレビュー、サーバーレスコードの実行など、フロントエンド開発・運用に必要な機能が統合されています。

代表的なサービスに「Vercel」、「Netlify」、「Cloudflare Pages」、「AWS Amplify ホスティング」などがあります。

これらのプラットフォームを使うことで、次のようなことが簡単に実現できます。

  • Git管理と連動して、自動でサイトを公開
  • CDNにより、世界中の拠点から高速配信
  • 公開前に確認できるプレビュー環境の自動生成
  • APIやサーバーレス関数との連携

開発チームの生産性とユーザー体験の両方を高められます。
モダンなWebフレームワークを活用するなら、フロントエンドクラウドはもはや欠かせない存在と言えるのではないでしょうか。

画像:これまでのWebとフロントエンドクラウド

CDN(Content Delivery Network)とは、Webコンテンツを世界中に分散された「エッジサーバー」にあらかじめコピーしておき、ユーザーに地理的に近いサーバーから配信する仕組みです。これにより、ユーザーはレスポンスの速さやダウンロードの高速化といった恩恵を受けられます。

一方、Webアプリケーションの運営側にとっては、オリジンサーバーへのアクセス集中を避けられるため、可用性の向上やインフラコストの削減といったメリットがあります。従来は主に画像やCSS、JavaScriptなどの静的アセットの配信に使われてきました。

最近では、フロントエンドクラウドの登場により、WebアプリケーションそのものをCDNと同様にエッジサーバーでホスティングして配信できるようになっています。

コンテンツを効率よく配信するには、フロントエンドクラウドの理解と経験が必要です。以下のホスティングサービスは、ピクセルグリッドで扱って運用した経験・実績があります。

そのほかのホスティングサービスでも対応できますので、気軽にご相談ください。

フロントエンドクラウドで解決したいプロジェクトがあれば、技術選定の前に気軽にお問い合わせよりご相談ください。

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